浦和法律事務所ブログ

当事務所の所属弁護士8名によるコラム(ブログ)です。

恩師との再会

先日、私が学生時代にゼミでお世話になった、
刑法・刑事訴訟法の前田雅英教授による定年退職前の最終特別講義
「実質的犯罪論の実質」
を聴講してきました。
大学で刑法を勉強されたことがある方なら、
一度は前田先生の名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。

大学に入学し、初めて法律学に触れたころ、
その用語の難解さや理論の複雑さに嫌気がさし、失望していました。
そんなとき、前田先生の講義を聴き、つかえていたものがすっと落ちていくような、
そして、心躍るような感覚を味わったことを今でも覚えています。
もっとも、その後改めて考えてみると、やはり分からないことだらけということもよくありましたが、
分からないことで、返って勉強に対する意欲がかき立てられました。

大学3年になり、前田先生のゼミに入ることが叶ってからは、
週に1回のゼミの時間が私の楽しみの1つとなりました。
私は前田先生の説にすべて賛成ではありませんでしたが、
だからこそ、より一層刺激的でもありました。
もし、あの時前田先生にお会いしていなければ、
私がこの道に進むこともなかったかもしれません。
 

約13年ぶりに、壇上に立って講義をする前田先生を拝見し、
そのお姿は、やはり相当の月日が経ったことを感じずに入られませんでした。
しかし、分かりやすい事例を挙げ、これに適格に解説を加えることで生じる説得力も、
息抜きとしてしばしば織り交ぜる雑談のタイミングも、
あのころのままでした(若干、雑談の回数は増えていたかもしれません)。

幸い、前田先生は今後も第一線で活動されるとのことでしたので、
これからも学生への指導を初め、ますますのご活躍を心よりお祈り申し上げます。


素晴らしい方の話を聞き、また、その本を読むことは
私にとって何よりも得難い経験となっています。
前田先生や憲法の芦部信喜先生の本などは、
初学者の方にもとても分かり易く書いてありますので、
法律の勉強をしたことがない方も、ご一読されてみてはいかがでしょうか。

そろそろお花見シーズン到来!

もうすぐ桜の季節ですね。
私は毎年桜をめでて過ごしていると「日本人でよかったなぁ」と幸せな気持ちになります。

でもやっぱり花より団子。
桜といえば桜餅。
皆様は、桜餅が大きく分けて2種類あることはご存知ですか?
1つは、小麦粉で作った生地を薄く焼いて餡を包んだ「長命寺」と呼ばれる関東風桜餅。
もう1つは、もち米を蒸して乾燥させ、道明寺粉で餡を包んだ「道明寺」と呼ばれる関西風桜餅。
埼玉出身の私にとっての桜餅は「長命寺」で、九州出身の友人にとっての桜餅は「道明寺」。
出身地によって『桜餅』が違うって面白いですよね。
皆様の中の桜餅はどちらでしょう?

さて、この2種類の桜餅、桜の葉の塩漬けで包むところは一緒です。
桜餅のあの独特の香りは、桜の葉を塩漬けすると生まれるクマリンという成分によるもの。
このクマリンには、リラックス効果、殺菌作用、消臭作用があるそうです。
二日酔いを抑える効果もあるとか。
ただし、このクマリンには肝毒性があるようなので食べ過ぎにはご注意を。

桜の花の抽出物には、美肌効果、美白効果、アンチエージング効果があるそうで、
桜の花エキス配合の化粧品など数多くあるようです。
お祝いなどに出されることの多い桜茶は、「花開く」とおめでたい縁起を担いでのことだとか。

桜って、見ても食べても使っても、しかも縁起が良いという万能な花ですよね。
今年は色々な角度から桜を楽しんでみてはいかがでしょうか。

事務局i

接見の必要性

弁護士のアドバイスというのは、どうしても専門的な内容であり、
こちらがいかに平易にアドバイスしたつもりであっても、
相手の方が十分に理解できているとは限らない。

特に、刑事事件において微妙な法的な判断が伴う部分、
たとえば「未必の故意」に関する取調べを受けて、
弁護士のアドバイスをもとに、警察や検事の質問の意図をくみ取り、
これに対応する自らの心理状態を正確に述べることは非常に困難である。


我々ができることは、接見に行くたびに口酸っぱくアドバイスをすること。
何度も何度も説明して、
自分の言い分が法的にはどういう意味を持つか
を理解してもらうことである。


警察、検事も日常的に取調べを行っている人たちである。
聞き方をかえて、本人が気づかぬ間にさらっと認めた内容の調書を作成しようとする。

それでも、きちんと自分の言い分が法的にどういう意味をもつかを理解して、
警察や検事の取調べにおいても自分の主張を維持できたとき、
弁護人としては、非常にうれしく、また、尊敬の念をいだくのである。

モラハラ

某有名人の年の差夫婦の離婚が裁判になった! とのニュースを見ました。
その中で「モラハラ」という言葉が出てきました。

「モラハラ=モラル・ハラスメント」とは言葉や態度による精神的嫌がらせです。
相手を無視したり、怒鳴ったり、大きな物音をわざと立てたり、
繰り返し相手を非難したりするなどして、
相手が自分の思い通りになるように支配していくのです。
殴る・蹴るなどの証拠が残る暴力とは異なり、
外からは分かりづらく、理解されにくいものですが、
言葉や態度で相手を精神的に虐待する一種のDVです。
モラハラをしている側はDVをしているなどとは全く思っていないのが大半です。
モラハラをされている側も辛い思いをしているのだけれど、
DVを受けているとまでは考えていないことが多いです。

離婚の相談でモラハラと思われる事案は結構あります。
もちろん人の発言や態度の受け止め方は様々なので、
相手の発言や態度によって嫌な思いをしたらモラハラであり直ちに離婚の原因になる
なんてことはありません。
夫婦として一緒に生活していれば、喧嘩もするだろうし、
相手に対して腹が立って無視をしたり、相手のミスを注意したりすることもあるでしょう。
しかし、相手のことは全く考えないで、自分の気持ちだけでこのようなことを繰り返したら、
それはモラハラであり、婚姻関係を続けていくことは難しくなると思います。

このように、モラハラは目には見えない相手に対する気持ちも大きく影響してくるので、
モラハラが夫婦の間であったのか、それが離婚の原因になるほどのものなのか、
明らかにすることは非常に難しいと思います。
しかし、これを裁判で認めてもらうためには、主張を裏付ける証拠が必要です。

某有名人夫婦の離婚騒動の詳細は知りませんが、
ニュースによると、妻である原告からモラハラに関する書籍が証拠として提出されたようです。
しかし、これはこの夫婦の間でモラハラがあったという証拠にはなりません。
これからどのような証拠が出てくるのか、
裁判の中でモラハラについてどのように認定・評価されるのか、
少しだけ注目しています。

“最賃”ってご存知ですか?

浦和法律事務所コラムをご覧の皆様、ご訪問ありがとうございます。
今日は、最低賃金制度のお話をひとつ。

皆様は「最低賃金」というコトバをお聞きになったことはありますか?
まずは参考までに、厚生労働省の最低賃金特別サイト(~2015331日まで)のご紹介を。
パートやアルバイトの方は勿論のこと、正社員・派遣社員の方にも関係します。
期間限定サイトではありますが、ぜひ一度ご覧になってみてください。
ちなみに、厚生労働省が配布しているパンフレットは こちら からどうぞ。

最低賃金(いわゆる“最賃”)とは
「使用者(雇い主)が労働者(従業員)に最低限支払わなければならない賃金(お給料)の額」
のことで、
現在、「地域別最賃(都道府県単位)」と「特定(産業別)最賃」の2種類が
時間給で決められています。
憲法25条の趣旨に基づいた最低賃金法という法律によって定められたものです。
仮に労使双方の合意の上であったとしても、最賃以下での賃金契約は一切無効。
もし雇い主が最賃未満の給料しか支払わなかった場合には
地域別最賃違反の場合は50万円以下、
特定(産業別)最賃違反の場合は30万円以下の罰金を支払うことになります。

現在のところ、法の内容や制度の在り方自体は、
専門家の間でも賛否両論が渦巻いている最賃制度ではありますが…
雇用する側・される側に関わらず、働くすべての人に関係のあるオハナシ。
ちょっとだけ、興味を持ってみてはいかがでしょうか。

事務局 t