浦和法律事務所ブログ

当事務所の所属弁護士8名によるコラム(ブログ)です。

平和の象徴?

私は大体毎朝6時過ぎころに起きます。
最近の私の目覚まし時計は鳩さんです。

私のマンションでは、数年前に修繕が行われ、
その際に建物のいたるところに鳩除けをつけました。
これにより、生活の場を追われた鳩が私の家のベランダにやってくるようになりました。

鳩さんは、大きな声で私を快適な眠りから容赦なく覚ますだけでなく、
ベランダに糞をまき散らし、
おまけにエアコンの室外機の裏に終の棲家まで作ろうとする始末。

卵を産まれたら大変なので、
室外機にネットを張り、鳩さんが入れないようにしていますが、
ネットをかいくぐって入ってくることもあります。

私の朝はそんな鳩さんとの格闘の連続となっています。
ベランダで「ホーホー」が聞こえれば、
窓を開けて追っ払い、
室外機に枝が運ばれていればその除去。
もちろん落ちている糞を踏まないように気をつけながら。
そして休みには糞の掃除。

最近では「ホーホー」が聞こえたのでベランダに出てみると、
少し離れたところに止まって首をかしげながら、
まだ「ホーホー(残念でした。私はベランダにはいませんよ)」と言っていました。

そんな鳩さんに、少し前までは辟易していましたが、
最近は愛着が湧くようにもなっています。

休日、平日に関わりなく、私に早起きの習慣を身に付けさせ、
糞の始末や枝の除去などで私を運動不足から解消させくれていると考えれば、
私を健康にするための使者かもしれません。

ただ一つ、言いたいことは、
「どこでもかしこでも、鳩除けをつければいいというものではない」
ということです。

ほんとうにいいの?集団的自衛権

安倍総理は、自衛隊を海外派遣するための
恒久法「国際平和支援法」案について
「必要な法案の成立を、この夏までに、必ず実現する」と明言し、
集団的自衛権の行使容認を含む安全保障法案についても
「この夏までに成就させる」と表明しています。

そして、政府は14日の臨時閣議で、
自衛隊の海外活動拡大を図る新たな安全保障関連法案を決定し、
本日15日、自衛隊法、武力攻撃事態法、周辺事態法、国連平和維持活動(PKO)協力法
などの改正10法案を一括した「平和安全法制整備法案」と、
国際紛争に対処する他国軍の後方支援を随時可能とする新法「国際平和支援法案」
2本の法案を国会に提出します。

安倍総理は、参院予算委員会のなかで、自衛隊のことを「我が軍」と述べたとか。

本当に怖い。
国民的な議論が尽くされないまま、関連法案が成立してしまったら・・・。
自分の子どもや、
子ども達の大切なひと達が戦地に派遣されるようなになってしまうのでしょうか。
他人ごとではありません。

さて、来たる521()
埼玉弁護士会主催で憲法と人権を考える市民のつどい
『ほんとうにいいの?集団的自衛権』
が開催されます。

埼玉会館小ホール 午後6時開場/630分開会。

入場無料、事前申込不要(但し定員有)です。

このつどいでは、
イラク支援ボランティアの高遠菜穂子さん、
日本国際ボランティアセンター事務局長の長谷部貴俊さん、
元内閣官房長官補の柳沢協二さんのお話が聞けます。

また、531()には、
当事務所の鈴木幸子弁護士も呼びかけ人となっております
531オール埼玉総行動』
が北浦和公園(1030分開会予定)にて開催されます。
こちらは、ゲストスピーカーにジャーナリストの鳥越俊太郎さんらをお迎えします。

長年の国会審議を通じて「憲法規範」として確認されてきた
平和憲法の解釈と集団的自衛権の放棄が閣議決定により覆され、
関連法が上程されて多数決で押し切られようとしています。

どちらの集会も憲法と人権を考えるよい機会になるのではないでしょうか。

事務局a

誤表示に違いない

先日、仕事で多摩少年院へ。
少年院へ行くのは、加古川学園(兵庫)、駿府学園(静岡)に続き3回目である。

京王線山田駅で下車。
インターネットで徒歩5分とあったとおり、歩くとすぐに少年院の敷地が見えてくる。
ところが、入口がなかなか現れない。
どうやら、施設をぐるっと回って、駅から正反対の入り口まで歩く必要性があるらしい。
黙々と歩く。
結局、所要10分~15分くらいだろうか。

面会を終えて帰り。
徒歩5分とあるくらいだから、自分が通らなかった別の道があるはずだと、
施設の方に山田駅への道を尋ねると、畑道になるが、裏門(?)的なものがあるとのこと。

さっそく裏門に近づくも、鍵がかかっている。
ここではないのかと歩きまわれば、再び扉が。
「あぁ、こっちのことか」と近づけば、再び鍵である。
暗証番号を教わった記憶はない。押してみる勇気もない。

結局、諦めて、ぐるっとまわって帰るかと思い、
少し歩き始めたところに先ほどとは違う施設の方が。
裏門から出られないんですと言うと、明らかに不審な顔。
「失礼ですが…」と聞かれるので、面会を終えた弁護士ですと名乗ると、
「裏門のことは施設の人間から?」と聞かれ、「そうです。」と答えると、
「どうぞ」と言って案内される。

明らかに施設の方用の裏門である。
最初の施設の人は何のために裏門を紹介したのか。

裏門から出ること5分。京王線山田駅である。

徒歩5分表示は裏門からの所要時間に違いない。

裁判官の交替

3月末は裁判所の職員が別の裁判所に異動することが多く、
4月に入って裁判に行くと、
「担当の裁判官が替わりました!」
なんてことがよくあります。
この4月にも係属しているいくつかの裁判や調停で
担当していた裁判官や書記官、調査官が替わりました。

裁判官は、中立公正な立場ではありますが、
人間ですのでいろいろな考え方の人がおり、タイプも様々です。
訴訟を指揮して、事実の認定や証拠の評価を行い、
一定の判断(判決)をするのはほかでもない裁判官です。
なので、裁判官が替わったことによって
その裁判の流れも変わってしまうことがあります。
裁判官が替わるということは、裁判の帰趨にもかかわる重大なことなのです。

このように裁判の流れが変わってしまうかもしれないくらい重大なことが
裁判所の都合で簡単に行われてしまう一方で、
当事者の方から担当の裁判官を替えて欲しいという要望は簡単には通りません。
当事者から担当の裁判官をその裁判手続から排除するためには、
その裁判官が不公正な裁判をするおそれがある場合に「忌避(きひ)」を申立て、
忌避の原因が認められなければなりません。
単に、担当の裁判官が気に入らないとか相性が合わない
などという理由で替えてもらうことはできないのです。

どんな裁判官にあたるかは運次第です。
どんな裁判官にあたっても、
依頼者の主張が認められるように一生懸命活動するのが弁護士です。

三陸鉄道の旅

昨年の5月の連休に、震災後復興となった岩手県の三陸鉄道に乗って来ました。
宮古から久慈までの2時間、リアス式海岸を走るレトロな三陸鉄道は、
走行距離の約3分の2近くがトンネルの中ですが、
最も見晴らしの良いポイントでは電車が減速し、
車窓から真っ青に広がる太平洋を見渡すことができたのは感激でした。
連休中ともあって首都圏の満員電車に準じる込み具合でしたが、
三陸鉄道の昨年度の上半期の経常利益が21年ぶりに黒字となった模様で、
若干なりとも貢献でき嬉しく思っています。

沿線の田野畑で宿をとりましたが、
実はこの村では1980年に原子力発電所の誘致計画が持ち上がっていたそうで、
当時の県知事が誘致に積極的だったところ、
村の保健師さん(岩見ヒサさん)が、
美しい海を子や孫に残したいとの思いから、
一人、反対の声を上げ誘致推進派を説得して回り、
結局、断念をさせた経緯があるそうです。
東北の太平洋岸では唯一、原発のない県が岩手県。
三陸鉄道の美しい景観を自由に堪能できるのも彼女の勇気ある行動のおかげです。

福島での原発事故では
未だに多くの住民の方が故郷に戻れないという大変な被害に遭っています。

日本列島は世界有数の火山地帯に立地し、
いつでも火山噴火と巨大地震に見舞われる危険があり、
原発には不向きな土地と言われています。
アメリカの場合、
そもそも火山地帯から相当離れた東部地域に殆どの原発が設置されているそうです。

ここにきて原発の再稼働の動きがでていますが、
誰しも、放射能漏れという目に見えない恐怖との共存は望んではいないはずです。
原発に頼らない自然エネルギーへの転換に切り替えるべき時と改めて思っています。

事務局 K

「特定秘密保護法」は廃止にするしかない(3)

国会に設置された「情報監視審査会」は、
特定秘密の指定が正当に行われるための監視機能を果たすことができるのだろうか。

「情報監視審査会」は、
衆議院が与党6名、野党2名、参議院が与党5名、野党3名の議員で構成されている。
議事は出席議員の過半数で決定されるため、
そもそも、政府に不利になるような決定をすることができるかは極めて疑問である。
会合も議事録も非公開であるため、
十分かつ適正な議論がなされたか否かチェックの仕様もない。

秘密指定の不正を発見する端緒として、
各省庁が秘密指定をするたびに報告を受けることが必要であるし、
内部通報窓口も必要である。
しかし、いずれも与党議員が慎重なため制度化されていない。
したがって、常時監視することは難しい。

1回首相が
「情報監視審査会」に報告することになっている「特定秘密指定管理簿」
も項目のみの記載なので、
これだけでは、そもそも秘密指定にすべきものなのかどうかすら判断できない。

以上のような関門をくぐりぬけ、
仮に、「情報監視審査会」で秘密指定の正当性について審査する必要がある
との判断に到達し、
政府に対し、特定秘密の提出を求めたとしても、
政府が「我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがある」と判断すれば、
提出を拒むことができる。
そうなれば、結局、秘密指定の正当性について審査することは事実上不可能である。

そして、最後に、万々が一、「情報監視審査会」が政府の秘密指定を不当と判断し、
政府に対し、改善を求める勧告をしたとしても、強制力はない。

およそ、「情報監視審査会」に有効な監視機能など期待できないことは明らかである。

本年330日、ようやく衆参両院で「情報監視審査会」の初会合が開催されたが、
わずか10分で終了した。

「特定秘密保護法」は、われわれ国民の日常生活にどのような影響を及ぼすのだろうか。
引き続き、次回の私のコラムで。

市民講座「相続をめぐるトラブルとその予防法」のお知らせ

本日は事務局から、市民講座のお知らせです。
これまでの開催でご好評をいただき、
以下のとおり、第9回市民講座を開催する運びとなりました。

マ 『相続をめぐるトラブルとその予防法』
開催日時 2015620日(土) 午前10時~午前1130
講  師 沼尻隆一弁護士
費  無料
会  場 浦和コミュニティセンター 第3集会室

以前、事務局コラムでも話題に上がっておりましたが、
年明けから相続税の大幅改正が行われています。
今まで相続税とは、お金持ちが納めるイメージでしたが、
これからは、必ずしもそういうわけにはいかないのです。

今回の講座では、基本から相続税改正など踏まえつつ、
相続をめぐるトラブルとその予防法について、わかりやすくお話しいたします。

年齢や性別、法律知識の有無などは一切問わず、
どなたでもお聞きいただける内容となっておりますので、
是非、皆様お誘い合せのうえ、
お気軽に足をお運びいただければ幸いです。

また、今回も、講座終了後に無料法律相談会を開催いたします。
講座の会場は浦和コミュニティセンターですが、
法律相談会は午後から当事務所で行いますのでご注意ください。

ご相談は、講座にご参加いただいた方のみとさせていただいており、
また、完全予約制(事前予約のみ)となっております。
相談をご希望の方は、前日までに、お電話にてご予約ください。
なお、ご相談の内容はといませんので、
お気軽に、この機会を是非ご利用ください。

皆様のご参加をお待ちしております。

事務局M

弁護士と弁護士会

司法試験に合格し司法研修所の卒業試験に合格すると
法曹資格(裁判官、検察官、弁護士になる資格)を与えられますが、
このうち、弁護士になるには、必ずどこかの弁護士会(単位弁護士会)に
登録(入会・所属)しなければならず(同時に日本弁護士連合会会員となる。)、
また、弁護士であるためには登録していなければならず、
この意味で弁護士会は強制加入団体ということになります
(裁判官や検察官を辞めて弁護士になる場合も同様です。)。

単位弁護士会は各府県に一つずつの45
(名称は様々で、例えば、栃木県、千葉県は、
それぞれ栃木県弁護士会、千葉県弁護士会と称していますが、
群馬県、埼玉県は、それぞれ群馬弁護士会、埼玉弁護士会となっており、
「県」の字を冠しておりません。
また、神奈川県は横浜弁護士会と称しています。)、
東京都に3会(東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会)、
北海道に4会(札幌弁護士会、函館弁護士会、旭川弁護士会、釧路弁護士会)の
合計52会あり、これらの連合体が日本弁護士連合会(日弁連)です。

もちろん、どこの弁護士会に入会・登録するか選択は自由ですし、登録換えもできます。
そして、これが重要なことですが、
弁護士会には強い自治権が与えられています(弁護士自治)。
これは、国家権力の介入を許さないということです。
弁護士の地位ないし身分が国家権力の恣意により左右されるとすれば
その使命たる基本的人権の擁護は到底果たし得ないことになります。
例えば、刑事事件について、
弁護人の選任権が検察庁を所管する法務省にあるとすればどういうことになるか、
容易に想像がつくでしょう。
この点で日本司法支援センター(法テラス)が法務省の管轄とされているのは問題だと言えます
(現在、国選弁護人は法テラスの推薦で裁判所が選任しており、
事実上法テラスの推薦が必須となっています。)。

要するに、弁護士会とは、
基本的人権の擁護と社会正義の実現という弁護士の使命を全うするため、
強固な自治権を与えられた強制加入団体であって、
単なる同業者の集まりなどではなく、また、弁護士の互助組合でもないのです。

なお、必ずどこかの単位弁護士会に登録(入会・所属)していなければならないといっても、
裁判官や検察官と違って、弁護士の仕事に場所(地域)的な制限はなく、
日本全国どこででも活動することができます。
現に私など、これまで遠いところで、
青森地裁弘前支部、盛岡地裁、盛岡地裁花巻支部、仙台高裁、福島地裁、福島地裁白河支部、
水戸地裁、水戸地裁龍ヶ崎支部、水戸地裁下妻支部、宇都宮地裁、宇都宮家裁、宇都宮家裁足利支部、前橋地裁高崎支部、前橋家裁太田支部、
千葉地裁佐倉支部、横浜家裁相模原支部、
静岡家裁浜松支部、名古屋簡裁、大津家裁、
奈良地裁葛城支部、大阪地裁、大阪高裁、
松山地裁宇和島支部、長崎地裁平戸支部などに裁判で通いました。
これは一つには、当時は弁護士の数が少なかった上、
大都会に集中し偏在していたことが理由に挙げられます。
ところが、最近は、遠方に、ましてや泊りがけで裁判に出掛けるなどということは
ほとんどなくなりました。
弁護士が身近に存在するような時代になったものと一応喜ばしく感じていますが、
果たして実態は本当にそうであろうか、もう少し検証してみる必要があるかもしれません。
何事も、「過ぎたるは及ばざるが如し」です。

ところで、身近な存在、換言すれば、地域に密着した存在としては、
かつて、東京23区には、それぞれ簡易裁判所が置かれ、
民事調停委員は概ね地元(同じ区内)の弁護士が選任されていたようです。
因みに私自身が民事調停で実際に通った簡裁は、
豊島簡裁、新宿簡裁、大森簡裁等で、いずれも調停は不成立に終わったものの、
地域密着という点では雰囲気は悪くありませんでした。
然るにこれらの簡裁は、1994年、司法の効率化の名の下、
霞が関の東京簡易裁判所に統合されてしまいました。

さて、各区に簡裁が置かれていたことに対応してかどうかは分かりませんが、
東京23区には、前記単位弁護士会とは別に区ごとに弁護士の任意団体が存在します。
例えば台東区には台東区法曹会というのがあり、私もこれに所属しています。
入会要件は、
①台東区内に事務所があること
(必然的に前記東京3会のいずれかの会員ということになります)、
又は、
②台東区内に住所があること
で、私の場合、上記②の要件に該当するということで入会が認められているわけですが、
会員の中で埼玉弁護士会所属の弁護士は私1人だけです。

主な活動としては、
台東区の無料法律相談(毎週火水金の午後1時から4時まで。予約制)に
相談担当弁護士として臨むことですが、
相談者の要件は、台東区の住民であるか、職場が台東区内にあることです。
したがって、例えば、
埼玉県内に住んでいながら、職場が台東区内にあるため、
平日の日中に埼玉県内で法律相談を受けることが困難な人でも、
上記時間内に時間がとれれば、台東区の無料法律相談を受けることができるわけです。

「一票の価値の不平等」に関する高裁判決

投票率が戦後最低をまたまた更新し、
「国民生活放り出し解散」
「政策そっちのけ解散」
などと言われた解散後の、昨年1214日に実施された
衆議院議員選挙の違憲・無効が争われた事件の高裁判決が相次いでいます。

今回の選挙では、一票の価値の較差が相変わらず最大で2倍を超える2.13倍に達し、
較差2倍を超える選挙区も295選挙区中13選挙区にのぼりました。
これらの結果を踏まえて、「(定数是正のための)合理的な期間は経過」し、
今回の選挙は「違憲・違法」だと断じた福岡高裁をはじめ、
全国の高裁で、違憲(状態)判断を示した判決が、相次いでいます。

上記の福岡高裁の判決では、選挙の違憲無効を訴えた原告の請求は棄却しました。
これは、いわゆる「事情判決」の法理といい、
選挙を無効にしてしまうことで生ずる混乱を避けるための、
はっきり言ってしまえば政治的な選択ですが、
これまでの同じような内容の判決よりも一歩進んで、「違憲」で、
なおかつこれまで格差是正の措置を不十分にしか行わなかった立法府の行為が「違法」だ
と判断し、さらには、「訴訟費用」を全額、被告の負担としたところに特徴があります。

訴訟費用の負担割合は、
分かりやすく言えば原告・被告双方の「勝ち具合・負け具合」のバロメーターである
とも言えますので、訴訟費用を「全額」被告の負担としたことは、
実質的には国側の、全面的な敗訴といってよいものと思われます。

そういう意味では、画期的な判決がなされたということになりますが、
いずれなされるであろう最高裁判決が楽しみです。

年度


新年度を迎え、生活環境が新たになる方も多いこの時季。
街のいたるところで“フレッシュ”な人たちを見掛けます。
ところで、一年の始まりは11日のはずなのに、41日も一年の始まり??
年度とは何とも紛らわしい。
とはいえ、日本では学校も役所も一年をここで区切っています。


しかし、世界的に見ると、
役所の会計年度が4月~翌3月である国は主流ではないものの複数ありますが
4月を学校年度の始まりとしている国は珍しいようです。
世界の多くの国では、9月を学校年度の始まりとしています。
日本でも昔は9月だったようですが、
いろいろな事情から4月へと変更され、それが定着して現在に至っています。 
今や、4月始まりのカレンダーや手帳はお馴染みになっていますよね。

ちなみに、当事務所では業務が年度に左右されることはあまりないように思います。
とはいえ、世の中が年度で回っていると、
つい自分もそのタイミングで何かしらの区切りをつけようとしたり、
事始めを誓ってみたりしてしまいます。
年中行事のようになっていますが、今年も早速、新しいことに挑戦しています。
三日坊主にならないように継続したいものです。
 
さて、余談ですが、実はいろいろな「年度」があるのはご存知ですか?
米穀年度や醸造年度、砂糖年度や農薬年度など、バラエティ豊かで区切る月も実に様々。
それぞれの業界では、区切りに合わせたカレンダーや手帳があるのでしょうか?
興味深いです。

事務局Y

恩師との再会

先日、私が学生時代にゼミでお世話になった、
刑法・刑事訴訟法の前田雅英教授による定年退職前の最終特別講義
「実質的犯罪論の実質」
を聴講してきました。
大学で刑法を勉強されたことがある方なら、
一度は前田先生の名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。

大学に入学し、初めて法律学に触れたころ、
その用語の難解さや理論の複雑さに嫌気がさし、失望していました。
そんなとき、前田先生の講義を聴き、つかえていたものがすっと落ちていくような、
そして、心躍るような感覚を味わったことを今でも覚えています。
もっとも、その後改めて考えてみると、やはり分からないことだらけということもよくありましたが、
分からないことで、返って勉強に対する意欲がかき立てられました。

大学3年になり、前田先生のゼミに入ることが叶ってからは、
週に1回のゼミの時間が私の楽しみの1つとなりました。
私は前田先生の説にすべて賛成ではありませんでしたが、
だからこそ、より一層刺激的でもありました。
もし、あの時前田先生にお会いしていなければ、
私がこの道に進むこともなかったかもしれません。
 

約13年ぶりに、壇上に立って講義をする前田先生を拝見し、
そのお姿は、やはり相当の月日が経ったことを感じずに入られませんでした。
しかし、分かりやすい事例を挙げ、これに適格に解説を加えることで生じる説得力も、
息抜きとしてしばしば織り交ぜる雑談のタイミングも、
あのころのままでした(若干、雑談の回数は増えていたかもしれません)。

幸い、前田先生は今後も第一線で活動されるとのことでしたので、
これからも学生への指導を初め、ますますのご活躍を心よりお祈り申し上げます。


素晴らしい方の話を聞き、また、その本を読むことは
私にとって何よりも得難い経験となっています。
前田先生や憲法の芦部信喜先生の本などは、
初学者の方にもとても分かり易く書いてありますので、
法律の勉強をしたことがない方も、ご一読されてみてはいかがでしょうか。

そろそろお花見シーズン到来!

もうすぐ桜の季節ですね。
私は毎年桜をめでて過ごしていると「日本人でよかったなぁ」と幸せな気持ちになります。

でもやっぱり花より団子。
桜といえば桜餅。
皆様は、桜餅が大きく分けて2種類あることはご存知ですか?
1つは、小麦粉で作った生地を薄く焼いて餡を包んだ「長命寺」と呼ばれる関東風桜餅。
もう1つは、もち米を蒸して乾燥させ、道明寺粉で餡を包んだ「道明寺」と呼ばれる関西風桜餅。
埼玉出身の私にとっての桜餅は「長命寺」で、九州出身の友人にとっての桜餅は「道明寺」。
出身地によって『桜餅』が違うって面白いですよね。
皆様の中の桜餅はどちらでしょう?

さて、この2種類の桜餅、桜の葉の塩漬けで包むところは一緒です。
桜餅のあの独特の香りは、桜の葉を塩漬けすると生まれるクマリンという成分によるもの。
このクマリンには、リラックス効果、殺菌作用、消臭作用があるそうです。
二日酔いを抑える効果もあるとか。
ただし、このクマリンには肝毒性があるようなので食べ過ぎにはご注意を。

桜の花の抽出物には、美肌効果、美白効果、アンチエージング効果があるそうで、
桜の花エキス配合の化粧品など数多くあるようです。
お祝いなどに出されることの多い桜茶は、「花開く」とおめでたい縁起を担いでのことだとか。

桜って、見ても食べても使っても、しかも縁起が良いという万能な花ですよね。
今年は色々な角度から桜を楽しんでみてはいかがでしょうか。

事務局i

接見の必要性

弁護士のアドバイスというのは、どうしても専門的な内容であり、
こちらがいかに平易にアドバイスしたつもりであっても、
相手の方が十分に理解できているとは限らない。

特に、刑事事件において微妙な法的な判断が伴う部分、
たとえば「未必の故意」に関する取調べを受けて、
弁護士のアドバイスをもとに、警察や検事の質問の意図をくみ取り、
これに対応する自らの心理状態を正確に述べることは非常に困難である。


我々ができることは、接見に行くたびに口酸っぱくアドバイスをすること。
何度も何度も説明して、
自分の言い分が法的にはどういう意味を持つか
を理解してもらうことである。


警察、検事も日常的に取調べを行っている人たちである。
聞き方をかえて、本人が気づかぬ間にさらっと認めた内容の調書を作成しようとする。

それでも、きちんと自分の言い分が法的にどういう意味をもつかを理解して、
警察や検事の取調べにおいても自分の主張を維持できたとき、
弁護人としては、非常にうれしく、また、尊敬の念をいだくのである。

モラハラ

某有名人の年の差夫婦の離婚が裁判になった! とのニュースを見ました。
その中で「モラハラ」という言葉が出てきました。

「モラハラ=モラル・ハラスメント」とは言葉や態度による精神的嫌がらせです。
相手を無視したり、怒鳴ったり、大きな物音をわざと立てたり、
繰り返し相手を非難したりするなどして、
相手が自分の思い通りになるように支配していくのです。
殴る・蹴るなどの証拠が残る暴力とは異なり、
外からは分かりづらく、理解されにくいものですが、
言葉や態度で相手を精神的に虐待する一種のDVです。
モラハラをしている側はDVをしているなどとは全く思っていないのが大半です。
モラハラをされている側も辛い思いをしているのだけれど、
DVを受けているとまでは考えていないことが多いです。

離婚の相談でモラハラと思われる事案は結構あります。
もちろん人の発言や態度の受け止め方は様々なので、
相手の発言や態度によって嫌な思いをしたらモラハラであり直ちに離婚の原因になる
なんてことはありません。
夫婦として一緒に生活していれば、喧嘩もするだろうし、
相手に対して腹が立って無視をしたり、相手のミスを注意したりすることもあるでしょう。
しかし、相手のことは全く考えないで、自分の気持ちだけでこのようなことを繰り返したら、
それはモラハラであり、婚姻関係を続けていくことは難しくなると思います。

このように、モラハラは目には見えない相手に対する気持ちも大きく影響してくるので、
モラハラが夫婦の間であったのか、それが離婚の原因になるほどのものなのか、
明らかにすることは非常に難しいと思います。
しかし、これを裁判で認めてもらうためには、主張を裏付ける証拠が必要です。

某有名人夫婦の離婚騒動の詳細は知りませんが、
ニュースによると、妻である原告からモラハラに関する書籍が証拠として提出されたようです。
しかし、これはこの夫婦の間でモラハラがあったという証拠にはなりません。
これからどのような証拠が出てくるのか、
裁判の中でモラハラについてどのように認定・評価されるのか、
少しだけ注目しています。

“最賃”ってご存知ですか?

浦和法律事務所コラムをご覧の皆様、ご訪問ありがとうございます。
今日は、最低賃金制度のお話をひとつ。

皆様は「最低賃金」というコトバをお聞きになったことはありますか?
まずは参考までに、厚生労働省の最低賃金特別サイト(~2015331日まで)のご紹介を。
パートやアルバイトの方は勿論のこと、正社員・派遣社員の方にも関係します。
期間限定サイトではありますが、ぜひ一度ご覧になってみてください。
ちなみに、厚生労働省が配布しているパンフレットは こちら からどうぞ。

最低賃金(いわゆる“最賃”)とは
「使用者(雇い主)が労働者(従業員)に最低限支払わなければならない賃金(お給料)の額」
のことで、
現在、「地域別最賃(都道府県単位)」と「特定(産業別)最賃」の2種類が
時間給で決められています。
憲法25条の趣旨に基づいた最低賃金法という法律によって定められたものです。
仮に労使双方の合意の上であったとしても、最賃以下での賃金契約は一切無効。
もし雇い主が最賃未満の給料しか支払わなかった場合には
地域別最賃違反の場合は50万円以下、
特定(産業別)最賃違反の場合は30万円以下の罰金を支払うことになります。

現在のところ、法の内容や制度の在り方自体は、
専門家の間でも賛否両論が渦巻いている最賃制度ではありますが…
雇用する側・される側に関わらず、働くすべての人に関係のあるオハナシ。
ちょっとだけ、興味を持ってみてはいかがでしょうか。

事務局 t

「特定秘密保護法」は廃止にするしかない(2)

前回のコラムでご紹介した『ツワネ原則』は、前文で、
「国家が保有する情報にアクセスする権利は、例外規定の少ない厳密に定められた法律によって、また独立した裁判所、国会の監視機関及びその他の独立機関による権利の監視のための法律によって保護されなければならない。」

と述べ、

原則3:国家安全保障上の理由に基づいた情報に対する権利の制限のための要件

として、

「法は、…明解であり、綿密且つ正確でなければならない。」

ことを挙げる。
その理由は、

「そうすることで、どの情報が非公開となり得るか、どの情報が開示されるべきか、そして情報に関するどのような行為が制裁の対象であるかを各人が理解できる。」

のだと述べる。
また、

原則6:「裁判所及び法廷を含む全ての監視機関、オンブズマン及び申立機関は、機密のレベルに関わらず、責任を持つ範囲に関連する、国家安全保障を含む全ての情報にアクセス権を有するべきである。」

ことを挙げる。


ところが、特定秘密保護法では、
特定秘密とは、
「我が国の安全保障(国の存立に関わる外部からの侵略等に対して国家及び国民の安全を保障することをいう。)に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるもの」
と極めて抽象的に規定するのみである。
つまり、
特定秘密を指定する行政機関の長が上記の要件に該当する情報だ
と言えば、それが特定秘密なのである。
ツワネ原則3に反することは明らかである。

それゆえに、監視機関の役割はより重要である。
にもかかわらず、特定秘密保護法について
閣議で決定された運用基準で監視機関と定めるのは、
  • 行政機関である内閣官房に設置される情報保全監視委員会、
  • 内閣府に属する独立公文書管理監、
  • 国会内の衆参両院に設置される「情報監視審査会」
である。
そもそも行政機関がいわば身内である当の行政機関の長を厳しく監視できるのか
極めて疑わしい。

さらに問題なのは、
監視機関が必要があると認めるときは、特定秘密の指定をした行政機関の長に対して特定秘密である情報を含む資料の提出を求めることができる
としながら、運用基準では
行政機関の長が資料の提出が「我が国の安全に著しい支障を及ぼす」と判断すれば、資料の提出を拒むことができる
としている点である。
これは、秘密保護法の監視制度を骨抜きにするものである。
なぜなら、そもそも、資料が提出されなければ、
行政機関の上記判断が正当なのかどうかすらも判断できないのであるから、
結局は行政機関に資料を提出させる強制力はないに等しい。
そして、資料の提出を受けなければ、特定秘密の具体的な内容がわからないのであるから、特定秘密の指定が正当なのかどうかも判断できず、結局は監視機能を果たせないことになってしまうからである。
したがって、ツワネ原則6に反することも明らかである。


では、国会に設置された情報監視審査会は監視機能を果たすことができるのだろうか。
引き続き、次回の私のコラムで。

Happy Valentine

みなさんは、今年のバレンタインデーをどのように過ごされましたか?
わたしは、長女の本命チョコ菓子作りのお手伝いと、
二女の友チョコ作りのお手伝いに励みました。

「本命チョコ」「義理チョコ」は昔から聞きなれていますが、
「友チョコ」ってどれくらい前から存在するのでしょう?
私の青春時代には「友チョコ」という言葉は存在しなかった…。
「友チョコ」なる言葉を生み出したのは、やっぱりお菓子業界なのでしょうか?
だとしたら、まんまとお菓子業界の戦略に踊らされている我が家です。

長女は、もらったらホワイトデーでお返し派なので、大量生産はなしですが、
二女はどうやら友チョコを配りたい派らしい。
今はまだ小学校低学年なので、
「学校には持っていけないから、おうちに届けられる友達の分だけにしようね。」
という私の言葉に素直に従っていましたが…。
この先、クラス全員分作るとか言い出す時がくるのかしら。
そのときは、ぜひ、親の手は借りず、ぜんぶ自分で頑張ってねぇ~
と思っているところです。

とはいえ、大量生産の大変さを除けば、お菓子つくりは楽しい。
まさにHappy Valentineでした♪


ところで、今年のバレンタインデー、
当事務所では、第8回市民講座『マンションをめぐる法律問題』が開催されました。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

講座終了後の質疑応答では、参加者の皆様から具体的事案に関する内容など、
さまざまな質問が出されていました。
また、参加者の方同士で
「私のマンションではね…」
と意見交流されている姿などもあり、終始、和やかな雰囲気ですすめられました。

次回の市民講座は、 
620日(土)午後2時から「相続をめぐるトラブルとその予防法」です!
こちらも、たくさんの方のご参加をお待ちしております。
事務局a