当事務所の所属弁護士8名によるコラム(ブログ)です。

中小企業の事業再生と特定調停

中小企業の事業再生の方法としては
  • M&A
  • 事業譲渡
  • 民事再生
  • それらの組合せ(あるいは破産手続の中での組合せ)
など様々な手法がみられますが、それぞれに一長一短があります。

そんな中で、次の制度に注目が集まっています。

<特定調停>

特定調停は、民事調停の一種であり
分かり易く言えば
 裁判所を介した、話し合いによる債務の整理(弁済協定の締結)を図る制度
です。


もともとは、個人の多重債務者向けの制度として想定されていたようですが、
法的には企業であっても利用可能な制度です。

任意整理など裁判外の債務整理手法のデメリット
  • 手続の公正性や透明性などが担保されにくい面があること 等
会社更生、民事再生など純然たる裁判上の手続のデメリット
  • 原則として全ての債権者が相手となるなど手続が大げさになりすぎる
  • 硬直で後戻りできないこと 等
双方のデメリットを回避できることから
ここに来て、中小企業の事業再生の一手法として、
にわかにクローズアップされているようです。

裁判所にもこういった面の専門家(専門家調停委員)がそろっており
裁判所の専門家の関与の下、強制力のない穏当な形で
例えば
  今後も取引を継続していきたい中小企業が
  事業再生の要となるべきメインバンクなど特定の(主要な)債権者との間で
  債務の無理のない弁済方法に関して協定を結びたい
そのような形での利用がおおいに考えられようかと思われます。